2019年12月08日

前へ ! 前へ ! 前へ ! ― 足立区の落ちこぼれが、バングラデシュでおこした奇跡。

前へ ! 前へ ! 前へ ! ― 足立区の落ちこぼれが、バングラデシュでおこした奇跡。 ―
前へ ! 前へ ! 前へ ! ― 足立区の落ちこぼれが、バングラデシュでおこした奇跡。 ―


単行本(ソフトカバー): 224ページ
出版社: 木楽舎 (2011/4/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4863240376
ISBN-13: 978-4863240377
発売日: 2011/4/9
梱包サイズ: 18.8 x 13 x 2 cm



 この東京において、決して豊かでなく、むしろよくないイメージすら持たれている足立区で育ち、高校時代は100点満点の試験で2点や6点といった点数を連発し、先生からは留年勧告を受けたこともある(保護者宛の手紙をもらい、初めて高校にも留年があることを知った)、どうしようもないほどの落ちこぼれだった僕。
……(略)……

 1989年、僕は公務員の親父と看護師の母親の間に生まれた。それからずっと、東京都足立区竹の塚の都営住宅で暮らしていた。僕の世界と言えばここしかなかったのである。将来は安定した職業について、安定した人生を送って……と両親に言われる、きわめて安定志向な環境で育ったのに、2009年、ついに僕は大学に休学届を提出して、新しい世界を求めて足立区を発つことにした。
 向かった先は、アジア最貧国バングラデシュ。その土地で会いたかったのは、現代最高の社会起業家であるグラミン銀行のムハマド・ユヌス博士。博士のような人間になるために、グラミン銀行で修業をしたかったのだ。
 幸運にもグラミン銀行に潜り込め、社会起業家の卵として走りはじめることができた。しかし、修業の先に待ち受けていたのは、足立区では、いや、いまの日本では体験することができない貴重な体験、言い換えれば大アドベンチャーだったのである。冒険の最中、グラミン銀行のアシル・アハメッド先生、一橋大学の米倉誠一郎先生、カリスマ予備校講師の板野博行先生……とどんどん周囲のオトナたちを巻き込みながら、転がるように進んでいった。ラッキーなことに走れば走るほど、このソーシャルビジネスは大きくなり、果てはバングラデシュの予備校業界までをも巻き込み、現地の貧しい農村に、小さな小さな教室を造るまでに成長していった。
 僕をここまで突き動かしたのは、果たしてなんだったのだろう。バングラデシュに渡るきっかけは、20歳の大学生だった自分が、大好きだった彼女にふられたこと。ただ、それだけだったのに。

 農村にできた教室で始めたのは、後に革命と呼ばれたバングラデシュ初の映像授業。国でトップクラスの先生たちがパソコンの画面で繰り広げる授業で、村の高校生の度肝を抜き、たくさんのトラブルを乗り越えながら、6か月後の大学受験を目標にして突っ走っていった。結果的に、僕と生徒たちは、そこまでなんとか辿り着くことができた。そして、この入学試験は、バングラデシュという国に大きなものを与えたのである。
 都立高校で悶々としながら過ごしていた自分が、まさかアジアの片隅で奇跡を起こせるなんて思いもしなかった。とにかく、あの頃からは想像もできなかったことだ。

 僕はいま、バングラデシュの首都ダッカにいる。この国の人とクルマが織りなす喧噪は、さまざまな希望に満ち溢れている。
 そして、次々とビルが建つこの風景は、不可能なんてないんだと僕に教えてくれているかのようだ。
posted by ゴロゴロ at 03:00| 埼玉 ☔| 日記 | 更新情報をチェックする